概要
ストーリーとしての競争戦略を読んでみて一番強く感じたことは 今まで戦略だと思っていたことが戦略ではなかった ということです。
みなさんは上から伝えられた戦略に対して 「言いたいことは理解するけど、自分(自分の組織)はどうすればよいの?」 と感じたことはないでしょうか?
「○○事業部」、「△△部門」などのトップから戦略を発表されたときに、次の「4半期は売上30%up」とか「パートナーとシナジーを発揮して新事業を拡大」などを聞いた時、その場で納得してそこで終了(思考停止)する。その結果、自分(自分の組織)が具体的に何をするのかわからないといった具合です。
パートナーとシナジーを発揮して売上アップしましょう
了解しました(パートナーとシナジーって具体的に何?)
この書籍を通じて、「戦略とは何か?」がある程度理解することができたので、気になった箇所を読書感想文として記事にまとめました。
ボリュームある本ですが、読み物としても面白かったです
前提条件
- 戦略に興味がある人
目的
- 与えられた戦略にモヤモヤしている人に戦略について考えるきっかけを作る
- ストーリーとしての競争戦略が良書であったので是非読んでもらいたい
目次
内容
各章ごとに印象に残った部分を記録しました。
1章:戦略は「ストーリー」
これまで戦略だと思っていたモノは戦略ではなかったことに気が付きました
戦略とは何か?
本書には『「違いをつくって、つなげる」、一言でいうとコレが戦略の本質』とある。
組織が長期にわたり利益を生み出すためには、競合他社(他の組織)との違いを作り、これらを構成する複数の要素の間の因果論理をストーリーとして組み立てることで戦略が練り上がるとのこと。
これを踏まえて「自分の組織の戦略とは何か?」を説明できる人は少ないのではないだろうか・・・
ストーリーとは何ではないのか?
ここでは、「ストーリーではないもの」が6つ挙げられている。
- アクションリスト
市場調査やトレンドはどうか?どのセグメントを狙うのか?どのようにプロモーションするか? - 法則
アカデミックな法則戦略論 - テンプレート
戦略キャンパス、アクションマトリックス、バリューチェーン、SWOT分析 - ベストプラクティス
最新のベストプラクティスを通じて他社のやり方を真似する - シミュレーション
XXXの拡大に応じて、市場規模も大きくなる - ゲーム
ゲーム理論
これらは戦略の先にあるもので、戦略のストーリーではないとのこと。
経験上、ここに列挙されたことを具体化に分析することが戦略につながると考えていたが違うらしい。
2章:競争戦略の基本論理
ただの目標を与えられ、気合と根性で乗り切るのが会社として普通だと思っていた。
戦略でないもの
組織の責任者が数字(売上、利益率とか)で目標設定を説明して終わり。。。あとは部下、さらにその部下・・・というように下まで降りてきて、最終的にメンバーに「この数字を目指してがんばろう!!」みたいなことありませんか?(自分はコレしか経験したことない)
「気合と根性の精神論」、「環境の分析」、「アクションリスト」、「ただの目標」 は戦略ではないとのこと。普通に”なるほどな、それはそうだ”と思いました。
バズワードの功罪
「バズワードの功罪」にある内容を読んだときは、今まで経験してきた事柄と一致しており、思わず笑いがでてしまった。
メガコンペティション、ディスインターメディエーション、コンピテンシー ・・・ などが記載されていたが、今だと、デジタルトランスフォーメーション(DX)、メタバース、Web3 とかだろうか。
こういったバズワードにも意義があると思いますが、みんな深く理解せずに使っていることが多い気がします。(自分もそうですが、具体的に説明できない場合が多い・・・)
違いには違いがある
戦略は”違いを作る”ところがキモだが、この”違いにも違いがある”と本書にある。
2種類の違いがあり、
- SP(Strategic Positioning):他社と違ったことをする(ポジショニング)
- OC(Organizational Capability):他社と違ったことを持つ(組織能力)
SP は外から見えるので真似されやすく、逆にOCは外から見えにくいので真似されにくいという特徴があるとのこと。
そしてSPとOCが"競争優位"を生み出し、"持続的な利益"につながる。
新商品の開発や新サービスリリースを考える上では参考になりそうだが、これらの違いを生み出す難易度はかなり高いと感じた
まぁ、簡単に思いつくなら自分で事業を起こしますね(笑)
4章:始まりはコンセプト
わかりやすいコンセプトを掲げている会社ってどのくらいあるのだろう?
本当のところ誰に何を売っているのか
「ブックオフのコンセプトは「捨てない人のためのインフラ」であり、換金そのものが目的ではない」と本書にあるがこれを見て”家のモノを整理するときはブックオフ”と自然に考える自分に驚いた。
送料コストが高い大きなモノ(机、椅子、スノボー)やメルカリでは売れにくい古着などはブックオフに家族で行って、査定待ちの時間で店内を回り、欲しい物を見つけて買って帰ってしまう。
使えるモノがゴミにしてしまう罪悪感から開放 されることこそ、ブックオフが本当に売っているモノなんだなと思う。
誰に嫌われるか
ターゲットを決めることで、「誰に嫌われるか」をはっきりさせ、もう一歩踏み込んで、あからさまに肯定的な形容詞をなるべく使わずにコンセプトを決めることが大切と本書にある。
- ❌「最高の品質」「顧客満足の追求」
- ⭕ 第三の場所(スターバックス)
人間の本性は変わらない
事業を取り巻く環境や機械は常に変化するものであるため、10年先を見据えたのストーリー(戦略)には、「変わらないもの(=人間の本質)」を捉えたコンセプトが必要と本書にある。
これを見て顧客の行動をどれだけリアルに想像できるかがカギになると思い、少し行動心理学を学びたくなった。
5章:「キラーパス」を組み込む
これを作れる人は天才!!
一見して非合理
ここが本書の一番のポイントでしょう。短期的または局所的に見れば非合理的であるが、長期的または組織全体に見ると合理的である ことで、外部(競合他社)から見ると一見非合理にみえるので、 マネをされない(マネをしたいと思わない) と本書にある。
「なるほど!」と思うと同時に 「日々頭の中でストーリー(戦略)考えてないと絶対に生まれない」 とも思った。どちらにしろ自分が思いつくアイディアは他の人も簡単に思いつくだろう。。。(一部の天才を除いて)
模倣それ自体が差異を増幅する
これもおもしろい内容の1つですが、優れた戦略ストーリーを模倣すると自滅する と本書にある。
やはり他社と自社の違い(歴史、文化など)がある状態で模倣することでムリが生じて、オリジナルの競争優位性を作ることができないため、さまざまな対策を取った結果ちぐはぐなことになり、パフォーマンスを落とし自滅するとのこと。
だから、オリジナルはノウハウを外部に展開しても問題がなく、より強固になるらしい。ある意味恐ろしい・・・
まとめ
どうして戦略はイマイチ納得できないのか?を自分なりにまとめると・・・
組織が同じ方向を向いていないのではないか?
これは本書にあるようなストーリーや戦略がないことが原因ではないかと思っている。あからさまに肯定的な形容詞をなるべく使わずにコンセプトを決めるに反して、誰が聞いても耳障りのよい言葉を並べて戦略としているので、誰もが思考停止状態になっている気がする。
納得できないというより考えていないと行ったほうが正しいかもしれない。
課題解決ではなく、数字目標
ビジネスなので最終的には数字が必要ではあるが、この数字を達成するための組織が社会にある課題をどういったストーリー(戦略)で解決しようとしているのかが見えない。
戦略は「売上〇〇億円」です!では、イマイチ納得できないのもムリはない。
本書の内容は少しスケールが大きいですが、私のような末端サラリーマンでも活用できる考え方は散りばめられているので自分なりに実践してみようと思います。
わからないところなどがあれば、マシュマロを投げていただきたいです。
(できるだけ回答します)
本記事を読んでいただきありがとうございまいた。
少しでもみなさまのお役に立てばうれしいです。